GX関連産業
GX Related Industries
- 2025.3.10
- 素材・新工法
【小倉セメント製品工業株式会社】低炭素製品で脱炭素社会を実現


道路や上下水道、橋などに使用されるコンクリート構造物をプレキャストコンクリートと呼びます。工場で製造されたプレキャストコンクリートは各地の工事現場に運ばれ、私たちの生活を支えています。コンクリートは安価で大量生産できるため現代社会に欠かせませんが、一方で主原料のセメントを1トン生産するごとに0.8トンの二酸化炭素(CO2)を排出する、CO2の排出量が多い製品です。建築工事におけるCO2排出量のうち、セメントからの排出は全体の30%を占めると言われており、CO2削減への対策が求められています。
小倉セメント製品工業(北九州市小倉北区)は、従来品と比べておよそ40%のCO2排出量を低減するコンクリート製品を開発し、脱炭素社会の実現に貢献しようとしています。営業事務課の佐当葉純さんに取り組みを聞きました。
CO2を4割減らすコンクリート製品
ーー貴社のGXの取組みについて教えてください。

北九州GX推進コンソーシアムに加盟するなど活動を本格化させています。セメント業界でもカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)の取組みは避けられません。
製品としては従来のコンクリート製品と比較して約40%CO2排出量を低減する低炭素型コンクリート「COCOLOW(ココロウ)」を開発し、順次既存製品からの転換を進めています。CO2排出係数の高いセメント使用量を減らし、その代替に『鉄の街』北九州ならではの製鉄所から排出される副産物の高炉スラグを55%混合して製品化を実現しました。強度に影響はなく、価格も同等のため選んでいただくだけでカーボンニュートラル実現へのお手伝いになります。
また、北海道苫小牧市の曾澤高圧コンクリート株式会社が世界で初めて実用化した、自己治癒コンクリート「Basilisk(バジリスク)」の製造・販売も行っております。バクテリアの代謝機能を応用し、コンクリート製品のひび割れが自動修復可能な独自技術です。
ーーGXを進めるにあたり課題をどう感じていますか。
中小企業として新技術への研究開発や設備投資にどこまで取り組むかを見極めることに課題を感じています。COCOLOWはCO2を低減できますが、従来製品と比べて外観に変化はありませんし、低減効果も目に見えません。CO2低減効果があるからといって値上げした場合、やはり市場は従来品を選択する傾向にあるため、脱炭素に向けた技術開発やその取組みを価格に転嫁できていないのが現状です。環境に配慮した製品やサービスを提供しても、取引先や消費者理解を深めていかなければ、市場での競争力を保つのが難しいと感じています。
ーー社内の反応はいかがですか。
そこも課題に感じています。社を挙げてGXを推進しようとしても、どうしても従業員間で温度差が出てしまいます。経営層等一部の理解が進んだとしても、その他の従業員もGXの取組みの意味や効果を理解した上で活動をしなければ、真のGX推進とはいえません。そのために社員の意識醸成も低炭素製品の開発と同時並行で取り組んでいます。
ブランディング強化を進める
ーー今後の取り組みを教えて下さい。
COCOLOWに混入しているスラグの比率をさらに高めるよう実験を行っています。当面は60%、その先は70%までスラグを混入するのが目標です。課題は知名度向上です。展示会への出展も含めてブランディング強化を進めます。また、社員教育にもより力を入れ、全社員がGX、カーボンニュートラルに対して高い意識を持つことが重要と考えています。意識や思いはお客さまに伝わりますし、市場の意識向上にもつながると感じています。
ーー北九州GX推進コンソーシアムに参加して良かったと感じることがあれば教えて下さい。
北九州GX推進コンソーシアムが主催するセミナーや北九州GXエグゼクティブビジネススクールに参加し、GXについて勉強させていただきました。また首都圏で行われる大規模展示会にも共同出展するなど、コンソーシアムの多様な支援メニューを活用させていただいています。また令和6年度創設のGX推進補助金に採択されたのを機に、低炭素型製品使用時のCO2排出量自動算出につながるシステムの改修を行いました。CO2排出量の見える化に一歩近づけた取組みとなり、低炭素製品の販売促進につなげていきたいと考えています。

企業概要
1946年(昭和21年)創立。戦後一貫して道路で使用する側溝や集水桝など、プレキャストコンクリートの製造、販売を手がける。小倉北区の本社工場のほか、大型製品を製造する新門司と熊本工場がある。2022年からは複数社の共同出資でインドに進出、急速に経済成長が進む現地でも製品を製造し、インドのインフラ整備に貢献している。24年3月期売上高は約35億円、従業員数は111人。

※GRCコンクリート:ガラス繊維補強セメントを使用したコンクリート製品