北九州GX推進コンソーシアムで推進している「GX」。
日本政府も「GO GX! Japan」と広告を打つなど、かなり世の中に浸透してきたかと思います。今回は今更ではありますが、なぜ「GX」が必要なのか?改めて解説していきます。

出典:政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/media/commercials/202503/video-294269.html

気候変動に対応するため

世界の平均気温は年々上昇を続けています。産業革命以前と比べると、2024年ですでに1.5℃以上上昇しています。また、2023年5月から2024年6月までの14か月間連続で、月間平均気温の観測史上最高値を更新し続けました。

出典:気象庁「世界の年平均気温」に凡例を追記
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/an_wld.html
出典:気象庁「世界の月平均気温偏差(℃)」から作成
https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/temp/list/mon_wld.html

1.5℃位と思われる方もいるかもしれませんが、最後に起こった氷河期では2℃~4℃下がったとのことですから、ちょっとの気温変化でも甚大な影響が起こりえます。

夏場には熱中症警戒アラートが連日発令され、不要不急の外出を控えるように通告されています。2024年の福岡県での熱中症警戒アラートの発令回数は57回で、2023年の28回と比べて2倍以上になっています。また、2024年に日本で熱中症により救急搬送された方も97,578人と過去最高になっており、命を落とされてしまう痛ましい事態も発生しています。
夏休みの日中、公園で遊んでいる子供たちの姿を見かけるほぼ無くなりましたし、屋外でのスポーツもできません。Jリーグでは、気候変動の影響で「サッカーができなくなる日」と題した動画を公開し、対策を呼び掛けています。まだご覧になっていたない方は、ぜひ一度ご覧になってみてください。

出典:Jリーグ公式チャンネル
https://www.youtube.com/watch?v=_ctmoIfP0JI

このまま何もしないと世界の平均気温はさらに上昇を続け、気候変動による様々な影響が懸念されます。

まず懸念されるのが物理的、しかも急性的な影響です。

台風の大型化による大雨や洪水、高潮、土砂災害、強風被害などが毎年報告されています。また、干ばつによる水不足や、乾燥による大規模な山火事災害も頻発しています。さらに災害級の大雪による家屋倒壊や交通遮断など、生活への大きな影響が発生しています。

次に慢性的な影響として、気温の変化による農作物の不作や、魚の漁場の変化などによる食糧不足が懸念されます。近年、お米やキャベツなどの価格高騰などが発生しいます。また、夏場の屋外作業にも制限が発生し、経済活動にも影響が発生しています。
海水の熱膨張や南極やグリーンランドの氷床の溶解による、海面上昇も懸念されます。このままでは日本の砂浜の9割が消失してしまうというような報告も上がっています。ツバルなどの標高の低いところでは、国自体が水没してしまう状況に直面しており、「気候難民」と呼ばれる人々が他の国への移住を余儀なくされています。また、海面上昇だけではなく、永久凍土に封じ込められていた未知のウイルスの蔓延も懸念されています。

やらないと損をしそうだから

そもそもなぜ世界の平均気温が上昇し、気候変動が発生しているのか?
IPCCの報告によると「人間の影響が待機・海洋および陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」としています。気候変動の要因の一つは人為期限の温室効果ガス(GHG)の発生によるもので、その中でも多く影響しているのが二酸化炭素であるとされています。

そこで、これ以上温室効果ガスが増加するのを抑制しよう、排出した温室効果ガスと、森林などによる吸収で合計を実質的にゼロにしようという動きが、いわゆる「カーボンニュートラル」です。日本を含む多くの国が2050年カーボンニュートラル達成を目指すことを宣言しています。

出典:環境省「脱炭素ポータル」
https://ondankataisaku.env.go.jp/carbon_neutral/about/

カーボンニュートラル実現向け、世の中の移行が発生することにより、移行リスクが発生します。
2028年には日本でも炭素賦課金が導入されますし、他にも規制強化や、情報開示義務化の拡大などが予想されます。これに対応できない場合は何らかの罰則などが発生することが予測されます。
また、カーボンニュートラル実現に向けた技術革新も進められますので、技術の進歩に乗り遅れてしまう、また新技術への投資を失敗するなどの技術リスクもあります。
こういった流れに市場も敏感に反応します。消費行動の変化、受容の変化、またコストの変動といった市場リスク、対応が遅れてしまうと市場からの評価や評判が低下する、商品の購買を避けられてしまう、下手すれば訴えられてしまうなどといった評判リスクもあります。
他にも、サプライチェーンから外されてしまうことや、金融機関からの融資が受けられなくなることなども懸念されます。
タダでCO2を排出できる時代は終焉を迎えたと考えておいて良いと思います。

やると儲かりそうだから

さて「GX」です。GXとは一言でいうと「脱炭素と経済成長の両立」です。
気候変動・カーボンニュートラル実現への動きを「チャンス」と捉え、前向きに取り組んでいきましょうということです。

カーボンニュートラル実現のためには、まずは排出量を削減するために省エネによるエネルギー使用量の低減、化石燃料から電力への転換、再生可能エネルギーへの切り替えが挙げられます。省エネは単純にコスト削減につながります。燃料転換も今後ますます化石燃料の価格上昇は継続することが予想されますので、コスト抑制につながります。再生可能エネルギーについても自社の屋根に太陽光パネルを取り付け創エネすることで、電気代の抑制につながります。いずれにしても、費用対効果を見ながら、計画的に推進することが必要です。

まだまだカーボンニュートラル実現までの道のりは険しく、さらなる発明や変革が必要です。国は今後10年間で150兆円の官民GX投資を行うことを決定し、20兆円のGX経済移行債の大胆な先行投資支援を実行しています。分野別の投資戦略も公開されていますので、今後確実に儲かるであろうこれらの分野に投資、進出してみると良いのではないでしょうか。

出典:経済産業省「GX実現に向けた基本方針参考資料」から作成
https://www.meti.go.jp/press/2022/02/20230210002/20230210002_3.pdf

まとめ

いかがでしょうか?
今回は、GXの必要性を「気候変動対応」と「損をしないため」「儲けるため」の3点から整理してみました。
進め方としては、まず「損をしない」ことから始め「儲けること」へと拡大し、結果的に「気候変動対応」ができるというような、自己中心的な進め方で全く構わないと思います。いずれにしても対応が遅れると「損をする」ことになりますし、先行者利益としての「儲け」も取り損ねることになります。「気候変動対応」のためにも、すぐにでも取り掛かることが重要です。