GXは、「ジーエックス」または「グリーントランスフォーメーション」(Green Transformation)と言います。従来の化石燃料を中心にした社会経済システムを、クリーンなエネルギーを中心としたものに変えていくための変革や、その実現に向けた活動のことを意味します。日本政府はGXを推進することにより、カーボンニュートラル社会1と産業競争力の強化の同時実現を目指しています。

気候危機が叫ばれる現在、気候変動対策としてパリ協定の「1.5℃目標」2に向けた取り組みが世界中で進められています。日本政府は2020年10月に2050年カーボンニュートラル表明を行いましたが、これまでに世界150ヶ国以上3が同じように期限付きのコミットメントを表明しています。これにより、国際的なカーボンニュートラル包囲網が形成されました。

国のみならず、13,000以上の非政府主体(自治体や企業など)4からも同様の表明が行われています。国内に目を向ければ、北九州市を含む1013の自治体5が表明している他、本邦企業1076社がSBT認定6を受けるなどしてカーボンニュートラル社会実現に向けた決意を明らかにしています。

こうした国内外の潮流を踏まえて自社のGXを進めればビジネスの機会が増える一方で、対応しなければ市場から追いやられる可能性があります。

  1. 人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全および強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会のこと。脱炭素社会ともいう。
  2. パリ協定とは、2015年にパリで開催された気候変動枠組条約の第21回締約国会議(COP21)において、全会一致で合意された2020年以降の気候変動に関する国際枠組みである。世界共通の長期目標として、産業革命前からの平均気温の上昇を2℃より十分下方に保持し、1.5℃に抑える努力を追求する。それに向けて今世紀後半に温室効果ガスの人為的な排出と吸収のバランスを達成できるよう、排出ピークをできるだけ早期に迎え、最新の科学に従って急激に削減することを目指す。なお、2021年のCOP26で、「1.5℃目標」に向けて取り組みを加速させることが合意された。
  3. 経済産業省 資源エネルギー庁. “令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)”. https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2023/html/1-3-1.html.
  4. Race to Zero ホームページ https://climatechampions.unfccc.int/ , (参照 2024-03-27).
  5. 環境省. “これまでに表明した地方公共団体(2023.12.28時点)”. https://www.env.go.jp/policy/zerocarbon.html. (参照 2024-03-27)
  6. SBTはScience Based Targetsの略であり、パリ協定が求める水準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標のこと。認定企業の詳細は、「Science Based Targets. “COMPANIES TAKING ACTION”(https://sciencebasedtargets.org/)」から閲覧可。(参照 2024-03-27).